賃上げ余力、企業にある?
日本企業が稼いだ経常利益は、この10年間で1.8倍に膨らんでいる。他方、人件費は1.2倍にとどまる。
労働分配率は64%で、この比率は2000年度以降、全体として低下傾向がみられる。
インフレ率を考慮した実質賃金は0.5%低下し、3年連続で前年を割り込んだ。
日本企業の経常利益は2023年度に100兆円の大台に達し、24年度も110兆円を上回る過去最高益を記録した。
企業はまだ賃上げ余力がある。
記事
2025年10月2日付日経記事「〈CheckPoint〉賃上げ余力、企業にある? 最高益、現預金は260兆円」によれば、
「日本企業が稼いだ経常利益は2023年度に100兆円の大台に達し、24年度も110兆円を上回る過去最高益を記録した。
その半面、インフレ率を考慮した実質賃金は0.5%低下し、3年連続で前年を割り込んだ。企業はまだ賃上げ余力がある。
財務省の法人企業統計調査(年次別)によると、10年間で経常利益は1.8倍に膨らんでいる。
稼ぐ力は伸びている。他方、人件費は1.2倍にとどまる。企業が生み出した付加価値がどれだけ働く人に向かっているかを示す労働分配率は64%で、この比率は2000年度以降、全体として低下傾向がみられる。
特に大企業の労働分配率の低下が目立つ。
法政大学の山田久教授は「国際比較の観点からも価格転嫁は進んでいない。大手から中小に賃上げ原資の移転を進め、労働分配率の企業規模別の格差を縮小すべきだ」と指摘する。
「経済を持続的に成長させ国民生活を豊かにしていくには、中小企業や地方企業も付加価値を高めて適切な価格をつけ、生産性向上と賃上げの好循環を確実にすることが大切だ」と日本生産性本部の茂木友三郎名誉会長(キッコーマン取締役名誉会長)は語る。経営側も賃上げの継続に一定の理解を示す。
経済同友会の調査では26年も6割の企業が賃上げを実施すると答える。ただ、賃上げ予定の企業のうち2割が25年を下回る賃上げ率になりそうだと答える。トランプ米政権の関税政策など不安要素は増えており、景気動向も不透明感が強い。
武蔵大学の神林龍教授は「インフレのなかで実質賃金を上げていくには、将来のインフレ率予想を踏まえた目標値を掲げて労使が交渉すべきだ」と指摘する。連合が9月19日に公表した有識者による「未来づくり春闘」評価委員会の報告書で、生産性向上1%、日銀の物価安定目標2%、定期昇給2%との前提で「賃上げ要求は5%がひとつの目安」とした。
2010年代以降、歴代政権は政労使の会議を通じ、賃上げの機運作りに腐心した。実質賃金を引き上げていく上で、政府の役割はなお大きい。
資本金1000万円以上の企業が持つ現金・預金は日本全体で260兆円を超す。うち130兆円弱は資本金が1億円以上の大・中堅企業が、130兆円超は資本金1000万~1億円の中小企業が抱える。
低い労働分配率も、ため込んだ現預金も、リーマン・ショックや新型コロナウイルス禍のような、万が一の事態に備えた保守的な企業行動の結果とみることもできる。
成長に向けた攻めの姿勢を日本企業に取り戻すことも一国のリーダーに課される使命になる。」
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