「1ドル120円近辺まで上昇、今から1年~1年半後」。米エコノミスト予想
為替の将来予測は難しいとされていますが、米エコノミストは、円高・ドル安方向にあると確信しているようです。
2024年8月12日付日経記事「120円近辺まで上昇も 米シティグループ グローバル・チーフ・エコノミスト ネイサン・シーツ氏」によれば、
「(前略)
11月には米大統領選が控える。エコノミストや投資家はどのような政策が打ち出されるのか冷静に見極める必要がある。選挙期間中の大げさな発言と実際の政策の間にはどうしても乖離(かいり)が生じるためだ。
民主党候補のハリス副大統領と共和党候補のトランプ前大統領は、エネルギーや金融における規制のあり方で見解がかなり異なるが、経済政策全体としてみれば実は大きな違いはそれほどない。
ハリス氏は所得が40万ドル(約5800万円)を下回る世帯への減税を続けるというバイデン政権の公約を維持するだろう。トランプ氏は25年末に期限を迎える「トランプ減税」を延長する方針だ。
米国は大規模な財政赤字と高水準の公的債務を抱える。どちらの候補が勝利しても財政赤字を削減できるとは思えず、状況はさらに悪化しうる。
おおよその推計では、今後10年間で20兆~25兆ドルの米国債発行が見込まれる。この大量発行を金融市場は吸収しなければならない。金融不安定化やインフレの圧力が予想外に生じる可能性はある。
1980年代初頭を除くと、過去50年間で米ドルがこれほど強かった時期はなかった。今回は米国経済の相対的な強さやFRBの金融引き締めに加え、対米投資の力強い需要があった。
AI関連の大手企業が米国に拠点を置いているのも影響した。ただFRBが利下げを進めるにつれドル高は是正されるとみる。
7月上旬までの円安は日米の金融政策の方向性の違いを映したものだが、1ドル=160円を割り込む円相場はファンダメンタルズが示唆する水準を超えていた。
7月中旬からの急激な相場反発は、市場の見立ての変化が引き起こしたものだ。
日銀の利上げペースは想定されていたより積極的であり、一方のFRBは金融緩和を進めるとの確信が深まった。
為替市場の短期的な予測は極めて難しいが、今から1年から1年半の時点で円相場は150円より円高・ドル安方向にあると確信している。
円相場は歴史的にみて標準的な水準である120円近辺まで上昇する可能性が高い。」