日銀、利払い増で「逆ざや」に、2025年4~9月
政策金利引き上げにより、日銀の当座預金に口座を持つ金融機関に支払う利払い費は、2025年4-9月期は1兆2683億円となり、前年同期の3倍超に膨らんだ。
一方、保有国債から得られる利息収入は1兆1820億円と23%の増加にとどまった。
2013年から始まった異次元緩和の局面で買った国債は金利が低いため、より高い金利に置き換わるのに時間がかかり、利払い費の増加が先行する形だ。
今回の決算で、利息収入よりも利払い費の方が多い「逆ざや」の状況になった。08年に現在の準備預金制度になってから逆ざやが生じるのは初めてだ。
9月末時点の長期国債の保有残高は555兆509億円だった。金利の上昇(債券価格は下落)により国債全体の含み損は9月末時点で32兆8258億円。含み損は前年同期の13兆6604億円、25年3月末の28兆6246億円を上回り、過去最大となった。
日銀は、「財務リスクが着目されて金融政策を巡る無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがある」とし、財務の健全性確保に努める方針を示している。
記事
2025年11月27日付日経記事「日銀、経常利益13%減 4~9月、利払い増で「逆ざや」に ETF分配金は増加」によれば、
「日銀が26日発表した2025年4~9月期決算によると、経常利益は前年同期比13%減の1兆5509億円だった。大量に保有する上場投資信託(ETF)の分配金が1兆5000億円におよんだものの、金利上昇に伴い利払い費が増えたことが収益を押し下げた。
経常減益の主因は利払い費の増加だ。
日銀は24年7月に政策金利を0.25%に、25年1月に0.5%に引き上げることを決めた。金利上昇の影響を受けて、日銀の当座預金に口座を持つ金融機関に支払う利払い費が1兆2683億円となり、前年同期の3倍超に膨らんだ。
一方、保有国債から得られる利息収入は1兆1820億円と23%の増加にとどまった。
2013年から始まった異次元緩和の局面で買った国債は金利が低いため、より高い金利に置き換わるのに時間がかかり、利払い費の増加が先行する形だ。
ETFの分配金収入は前年同期比19%増の1兆5000億円だった。堅調な企業収益などを受けて、大きく伸びたが、利払い費増の影響を吸収しきれなかった。
9月末時点の長期国債の保有残高は555兆509億円だった。
金利の上昇(債券価格は下落)により国債全体の含み損は9月末時点で32兆8258億円。含み損は前年同期の13兆6604億円、25年3月末の28兆6246億円を上回り、過去最大となった。
日銀は国債を満期まで保有する前提のため、収益への影響はないとする。
今回の決算では、利息収入よりも利払い費の方が多い「逆ざや」の状況になった。
08年に現在の準備預金制度になってから逆ざやが生じるのは初めてだ。
日銀には利払い費の増加で収支が悪化した場合に取り崩す「債券取引損失引当金」という仕組みがある。保有国債から得られる利息収入の方が利払い費より多い場合に差額を原資に積み立て、赤字の防止や赤字額の縮小につなげる。いずれ逆ざやが生じると見込み、引当金を積んで備えてきた経緯がある。
逆ざやが生じる場合はその金額の50%をめどに取り崩す。
引当金は24年度末時点で7兆4577億円にのぼり、今回の25年度上半期の決算では1352億円を取り崩した。ただ、日銀は今回の取り崩しは「機械的に算出した」と説明しており、年度末時点で取り崩すかどうかも含め、あらためて判断する方針だ。
日銀は24年12月、数年後に短期金利が2%、短期金利と長期金利の差が0.25%となって収益が厳しくなる場合の財政状況を試算して公表した。
ETFの分配金収入があっても27~28年度に最大2兆円規模の赤字が発生する内容だ。
長期国債から得られる利息収入は遅れて増える。
29年度以降は赤字の額が縮小し、31年度ごろには黒字に転換すると見通した。日銀は「一時的な赤字または債務超過でも政策運営能力に支障はない」と強調し、利上げ判断に影響しないとの認識を示す。
金融緩和から引き締めへの転換期に中央銀行の収益が悪化するのは海外も同じだ。
米連邦準備理事会(FRB)は2022年から23年にかけて歴史的な高インフレに対応するため急速な利上げを進めた。23年は支払利息の総額が2800億ドル超と前の年の2.7倍に膨らみ、利息収入との差額にあたる純金利収支は1065億ドルの「赤字」になった。24年も同収支は680億ドルの赤字が続く。
FRBも会計上の損益が金融政策運営に影響は与えないと説明するが、市場では政治家の批判や介入を招きかねないという見方もある。
日銀はこうした動きもみながら財務の健全性にも目配りする姿勢をみせる。
「財務リスクが着目されて金融政策を巡る無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがある」と指摘し、財務の健全性確保に努める方針を示す。」
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