移住者、地域間で奪い合い。東京一極集中続く
地域間の移住者獲得競争が、近隣から人を奪い合う形となっており、大都市からの転入者はわずかで、東京への一極集中が進んでいるようです。
記事
2024年10月14日付日経記事「移住者獲得、「奪い合い」の消耗戦 一極集中の是正巡り、地方と東京が対立」によれば、以下、抜粋
「島根県の山間部、広島県との県境にある邑南町(おおなんちょう)。
2011年に全国でいち早く第2子以降の保育料と中学生までの医療費を無償とし、移住を呼び込んだ。
一人の女性が生涯に産む子ども数の推定値である合計特殊出生率は15年に2.46となり、全国平均(1.45)を大きく上回った。
ただ「旗手」と呼ばれた邑南町は近年、転出者が転入者を上回る社会減に転じた。
石橋良治町長は「我々が始めた子育て支援が各地に広まることはいいことだが、その結果、子育て世代の取り合いになっている」と打ち明ける。
邑南町は近隣から住民を集めているのが実態で、大都市圏からの転入者は微々たるものだ。総務省の住民基本台帳人口移動報告を分析すると、14~23年の10年間に邑南町へ転入した2500人の40%超が県内のほかの市町村からで、29%は隣接する広島県からだった。
東京都からの転入者は全体の3%、首都圏を合わせても7%にすぎない。この傾向は島根県全体でみても似た状況だ。
島根県の丸山達也知事は表情を曇らせる。「我々は手を尽くしてきた。それでも県全体の人口は減少している」
国は6月に公表した地方創生10年の取り組みを総括する報告書で「成果が上がっているケースも、多くは地域間での『人口の奪い合い』になっている」と指摘。
「国全体で見たときに人口減少の大きな流れを変えるには至っておらず、地方が厳しい状況にある」と認めた。
神奈川と埼玉、千葉の3県を含む東京圏の人口が日本の総人口に占める割合は3割(20年時点)。世界の国・地域と集中度で比べると、ソウルに次いで高く、ニューヨークの5倍近くだ。
都は、合計特殊出生率の低さを総人口の減少原因と結び付ける見方を問題視する。
進学や就職で上京する若年女性がすぐに結婚・出産を経験するわけではない。結婚・出産を迎えると、広い居住スペースを求めて都内から転出していく場合も少なくない。
分母となる15~49歳の女性の数が大きいため、東京の合計特殊出生率が見かけ上で低くなっているというのが都の主張だ。」
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