パートの社会保険料、会社が肩代わり 厚労省案
厚生労働省は、「年収の壁」の対策として、労働者側の負担を会社が肩代わりする仕組みを、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で示したようです。
年内に最終案をまとめ、2025年の通常国会に関連法案の提出を目指し、早ければ26年度に導入する意向のようです。
記事
2024年11月15日付日経記事「パートの社会保険料、会社が肩代わり 厚労省案」によれば、
「厚生労働省は、働く時間が増えると社会保険料が発生して手取りが減る「年収の壁」の対策として、労働者側の負担を会社が肩代わりする仕組みを作る。
各企業の労使合意が前提となる。負担の急増を抑えて働き控えの発生を防ぎ、人手不足の対策につなげる。
15日に開いた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で案を示した。
年内に最終案をまとめ、2025年の通常国会に関連法案の提出を目指す。早ければ26年度に導入となる。
老後に受け取る年金額は今の制度からは変わらない。
厚労省は月8万8000円以上とするパート労働者の厚生年金適用要件を撤廃する方向で調整している。これにより「106万円の壁」はなくなるが、週20時間以上という労働時間要件は残る。このため、就労抑制が生まれるという問題は残っていた。
厚生年金の保険料は労使で折半して支払う。厚労省は手取りの急減を避けるため、働き控えが発生する年収層のパート労働者に限って、保険料の労使の負担割合を柔軟に変更できる特例を導入する方針だ。
例えば、現行制度で「壁」となっている年収106万円では労使の負担割合を1対9とし、年収が上がるごとに2対8、3対7とし、一定水準で本来の5対5に戻す仕組みを想定する。特例を活用する場合も労働者の保険料負担はゼロにはしない。
社会保険料の負担見直しは医療保険でも必要になる。主に中小企業が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)についても、労使の負担割合を柔軟にする制度改正を検討する。
対象者について厚労省は年収106万円〜130万円程度のパート労働者と想定する。現行制度で手取りが戻る125万円を上回る水準までを対象とすれば、106万円から130万円の間もなだらかに手取りが増え続けるようにできる。
新しい特例制度は、足元で導入している年収の壁に対する支援策の終了に合わせる形で実施を目指す。今回の措置は年収の壁問題を解決する特例と位置づけ、恒久的な制度ではないとする。現時点でいつまで続けるかは示していない。
「年収の壁」による働き控えが発生する根本的な要因の一つに、会社員の夫に扶養される専業主婦を念頭に置いた第3号被保険者制度の存在がある。
男女共働きが多くなる中、誰もが社会保険料を負担する仕組みに移行すれば、パート労働者の手取り急減はなくなる。複雑な仕組みを設ける必要もない。
ただ700万人の第3号被保険者全員に保険料の負担を求めることに厚労省は慎重な姿勢を示す。」
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