東京23区の家賃、30年ぶりの上げ幅、2024年11月
家賃は長く「上がらない価格」の象徴とされてきましたが、東京23区の家賃は、30年ぶりの上げ幅となりました。
賃上げや資材高などの建設コストの上昇に、日銀の利上げによる金利負担が加わり、今後も家賃の上昇は続くと思われます。
記事
2024年12月7日付日経記事「東京23区の家賃、30年ぶり上げ幅 11月、日銀利上げ影響」によれば、
「物価の変動があまりみられなかった「岩盤品目」の一つである家賃の上昇が鮮明になっている。
11月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)では、一般的な賃貸住宅の家賃を示す「民営家賃」が前年同月比0.9%プラスと1994年11月以来、30年ぶりの高い上げ幅となった。
日銀の利上げでこの傾向が長続きする可能性もある。
「ニーズの高いエリアでは空室になったタイミングや更新の際に賃料を強気に設定する動きがある」。不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)の担当者は家賃の動向をこう分析する。
同社によると、東京23区の分譲マンションの10月の募集賃料は1平方メートルあたり4264円だった。5年前と比べて15%ほど上昇している。
SMBC日興証券の宮前耕也氏は、家賃が物価動向の中でも他より遅れて動く指標だと指摘する。「物価の上昇が家賃にも少しずつ反映され始めている」と話す。
家賃は長く「上がらない価格」の象徴とされてきた。
賃上げや資材高を背景に、都区部CPIの「民営家賃」は2000年以降前年同月を下回る水準が続いていたが、24年ごろからプラス幅の拡大が続いている。日銀の金融政策がプラス基調を長続きさせる可能性がある。
日銀は3月におよそ17年ぶりに利上げに踏み切り、7月には政策金利を0.25%に上げた。金利上昇を受け、ローンをかかえるオーナーが家賃の引き上げに動くとみられている。
11月の東京都区部のモノの価格は4.6%、サービスは0.9%それぞれ上昇した。都区部の民営家賃はサービスの1割弱を占める。
日銀は物価と賃金の好循環に向け、サービス価格の押し上げが重要とみる。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は、これまで動きが乏しかった家賃にも上昇傾向がみられるのは「デフレ脱却に向け、明らかにステージが変わってきている証拠だ」と語った。」
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