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上場企業の早期退職募集1万人超、2024年。黒字でも構造改革

昨年(2024年)の上場企業の早期・希望退職者募集人数は、前年比で3.2倍の1万9人だった。


企業数では前年比39%増の57社に増えた。1社あたりの募集人数は前年比2.3倍の平均175人と規模も拡大した。


年齢制限を設けないものや若い世代からも対象にしたものが目立つ。


デジタル領域を中心に、高い賃上げで優秀な人材を好待遇で確保する一方、雇用数を減らして人件費総額を抑制しようとする企業も少なくないと見られる。


記事
2025年1月10日付日経記事「早期退職募集1万人超 上場企業の24年、黒字でも構造改革」によれば、
「2024年の上場企業の早期・希望退職者募集人数が1万人を超えたことがわかった。3年ぶりの1万人超えで、23年比で3.2倍の水準だ。黒字企業でも募集が目立つ。デジタル領域を中心に人材の新陳代謝を進め、収益力向上を急ぐ姿勢が鮮明になっている。


東京商工リサーチが集計した。24年の上場企業の早期・希望退職者募集人数は1万9人だった。企業数では前年比39%増の57社に増えた。1社あたりの募集人数は前年比2.3倍の平均175人と規模も拡大した。


募集した企業の業績をみると、直近決算期の最終損益が黒字の企業は6割を占めた。過去5年間で最高の割合で、1万5892人を募集した21年は黒字企業の割合が44%だった。24年は好業績でも早期・希望退職を募集する企業が相次いでいることが特徴だ。先手をうって、事業構造改革に取り組んでいることがうかがえる。


募集内容をみると、年齢制限を設けないものや若い世代からも対象にしたものが目立つ。デジタル化が進展するなか、スキルの有無で人材の新陳代謝を急ぐ企業が多い。



武田薬品工業は24年10月に国内従業員を対象に希望退職の募集を発表した。営業人員や研究開発部門の一部が対象だ。


日本での募集は4年ぶり2回目で、前回は対象を30歳以上としたが、今回は年齢を定めなかった。生成人工知能(AI)を活用した営業活動体制の整備を進めるなかで1人当たり生産性向上とともにスキルを重視した人員確保につなげる。


繊維事業を手掛ける片倉工業も24年11月末までに医薬品事業子会社で勤続3年以上の従業員を対象に希望退職を実施した。先端研究に経営資源を集中させる。


工場の操業停止や事業売却で希望退職を募る従来型でも、ワコールホールディングスシャープなどで年齢制限を設けない事例が目立った。


人手不足もあって、転職市場は活性化している。とりわけAI関連の人材は人気で、リクルートによると23年度のAI関連のエンジニア系職種の求人数は17年度比4.73倍に増えた。AI関連の営業職種なども求人が増えており、知識やスキルを持つ人材への転換が進んでいる。


日本経済新聞が24年にまとめた賃金動向調査によると24年度の平均賃上げ率は5.67%。ただ、23年度に比べて人件費総額が増えると回答した企業のうち、増加幅が5%未満とした企業は56%だった。高い賃上げで優秀な人材を好待遇で確保する一方、雇用数を減らして人件費総額を抑制しようとする企業も少なくないと見られる。


24年12月の日銀短観によると企業の24年度の最終損益は全産業で23年度比0.5%減になる見通し。年度当初の見通しからマイナス幅は改善しつつあるが、23年度は22年度比12.6%増だったため大幅減となりそうだ。


25年に入ってもすでにルネサスエレクトロニクスが全従業員の数%にあたる最大数百人規模の人員削減を国内外で実施することが明らかになった。東京商工リサーチの担当者は「今後も高水準の早期退職募集が続く」とみる。


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