1億円以上の個人預金口座、20年間で3倍、富裕層の増加
アベノミクスが始まった2013年から預金残高1億円以上の口座数の増加が目立つ。
日銀の預金者別預金によると、残高が1億円以上の個人預金の口座数は24年9月末時点で前年同月末比5.9%増の13万8900件だった。
野村総合研究所が2025年2月13日に公表した調査によると、23年時点で純金融資産を1億円以上保有する世帯数は165万3000世帯と、調査として遡れる05年以降で最多だった。
21年と比較し11.3%ほど増えた。1億円以上保有する世帯の純金融資産の総額は469兆円と推計され、21年に比べて28.8%増えた。
国税庁の統計によると23年には年間所得が1億円を超える人数は3万3324人で、比較可能な06年と比べると2倍に増えた。
記事
2025年2月18日付日経記事「1億円以上の個人預金口座、20年間で3倍 富裕層の増加で」によれば、
「大口の個人預金口座が増えている。日銀の預金者別預金によると、国内銀行で残高が1億円以上の個人預金の口座数は2024年9月末時点で前年同月末比5.9%増の13万8900件だった。預金の保護を元本1000万円と利息までとするペイオフの全面解禁後の05年9月末からの約20年間では3倍となった。金融機関では富裕層を囲い込む動きが強まっている。
株式や投資信託などの金融資産の価格上昇や相続などで預金額が膨らんだ人が多いとみられる。
富裕層は複数の銀行にわけて多額の預金を預けている可能性もある。
残高が1億円以上の口座の総預金量は前年同月末比5.8%増の29兆4695億円で、伸びは全体と比較して3倍超だった。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「アベノミクスが始まった2013年から預金残高1億円以上の口座数の増加が目立つ。富裕層と低所得者層の所得や資産の差が拡大している可能性がある」と指摘する。
一方、保有残高が300万円未満の口座数は前年同月末比2.6%減で、ペイオフ解禁後に15.5%減った。総預金量は136兆7751億円で05年9月末時点(136兆5165億円)とほぼ同水準だ。銀行統合や長期間放置していた口座を解約する動きなどが出たことが影響した可能性がある。
野村総合研究所が13日に公表した調査によると、23年時点で純金融資産(金融資産の合計から負債を引いた額)を1億円以上保有する世帯数は165万3000世帯と、調査として遡れる05年以降で最多だった。21年(148万5000世帯)と比較し11.3%ほど増えた。
1億円以上保有する世帯の純金融資産の総額は469兆円と推計され、21年に比べて28.8%増えた。
みずほリサーチ&テクノロジーズの河田皓史主席エコノミストは「株高の恩恵を受けて富裕層は増えてきた」と分析する。国税庁の統計によると23年には年間所得が1億円を超える人数は3万3324人で、比較可能な06年と比べると2倍に増えた。
大手金融機関は富裕層の囲い込みへと動き出している。
一部の銀行は一定以上の金融資産を持つ顧客に対して会員向けのサービスを進める。
証券会社も商品を拡充したり、営業の人員を強化したりする。
大和証券グループ本社は経常利益に占めるウェルスマネジメントの割合を2030年度に45%に高める方針を打ち出した。富裕層の増加に伴い、金融機関の収益源にも変化が生じている。」

