DIE WITH ZEROの資産運用日記

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米次期政権、ドル高頼み鮮明

DIE WITH ZERO

米次期政権の経済閣僚の候補者らは、関税の引き上げによる輸入物価の上昇圧力をドルの上昇で相殺するシナリオを描く。


「プラザ合意」のような本格的なドル高是正案は次期政権内でなおくすぶるが、あるとしても検討時期は先になりそうだ。


記事
2025年1月18日付日経記事「米次期政権、ドル高頼み鮮明 「プラザ合意2」は消えたか」によれば、以下、抜粋


「関税引き上げの負担は誰が払うのか。外国か、米国民か」。16日に米連邦議会の指名公聴会に出席した財務長官候補のスコット・ベッセント氏は、民主党の議員から質問攻めにあった。関税は輸入業者が支払い、多くが価格に転嫁される。つまり価格上昇のツケを払うのは米国民という新政権の急所を突いた質問だ。


だがベッセント氏は10%の一律課税なら4%のドル高になるという経済理論を紹介し「10%がそのまま(消費者まで)通過してくるわけではない」と涼しい顔でかわした。
「インフレは勤労者の家庭にとって命取りになる。次期大統領もこの購買力の危機に取り組むことを約束すると信じている」とも強調した。


そのうえでベッセント氏は関税の狙いを3つに整理した。
1つ目は不公正な貿易慣行の是正で、中国や鉄鋼製品への関税はこれにあたる。
2つ目は歳入の確保。
3つ目は交渉の道具だ。国境管理の強化を求めて宣言したメキシコ・カナダ向けの関税は最後の項目にあたる。


前政権で米通商代表部(USTR)代表だったライトハイザー氏が主張していたような貿易赤字そのものを問題視する発想とは距離がある。ドル高になれば米国の輸出企業が不利になり、貿易赤字の圧縮にはつながりにくい。製造業の復活を重視するトランプ氏が通貨安を求めてきたのもそのためだ。



両者の溝を埋めるのは、ホワイトハウスでトランプ氏に助言する米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長に指名されたスティーブン・ミラン氏が11月に出した論考だ。ミラン氏は財務省上級顧問を務めたこともある。


ミラン氏は第1次トランプ政権だった2018〜19年の対中関税を成功例とする。中国製品への実効関税率は17.9%上昇したが、人民元は対ドルで13.7%下落し、4分の3が相殺されて高インフレにつながらなかったという。


関税を引き上げた分は誰が負担したことになるのか。ミラン氏は通貨安による購買力の低下を通じて、中国が負担したと説明する。米国は関税からの歳入が増えた。さらに米国は通商交渉の過程で中国に多くの要求を突きつけた。


ただし、ミラン氏は中長期的にはドル高の是正が必要という考えだ。ドルは基軸通貨であるために多くの国で外貨準備となっている。米国債への強い需要は米政府の借り入れコストを下げる半面、ドルは割高になる。これが製造業の衰退や政府債務の膨張を生み、安全保障の観点からも徐々に持続可能でなくなってきているという主張だ。


ドルの支配力は経済的にも軍事的にも世界のなかでシェアを落とす主要7カ国(G7)にとって「武器」の側面が強くなっている。ウクライナに侵略したロシアへの制裁は国際金融市場からの締め出しが先行した。


「米国の防衛の傘に入りたい国は、公正な貿易の傘にも入らなければならない」と主張するミラン氏は、同じ論考で日本も含めた主要先進国がドル高是正に取り組むアイデアを提示した。トランプ氏の私邸での会議を想定して「マール・ア・ラーゴ合意」と名付けたプランは一見荒唐無稽だが、背景にある問題意識は次期政権内で共通している。


ミラン氏の構想は、まずはドル高に頼って関税の引き上げを終え、その後本格的なドル安政策への転換を目指すというものだ。「プラザ合意2」とも呼べるようなドル高是正策が将来的に浮上する可能性は残っている。」