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欧州長期金利上昇、ウクライナ支援の「再軍備計画」で国債増発を警戒

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欧州がウクライナ支援へ独自の防衛力を強化する「再軍備計画」を進めるなかで、ドイツや欧州連合(EU)が財政ルールの緩和方針を示しており、国債増発への警戒が広がっている。


記事

2025年3月6日付日経記事「欧州金利が急上昇、「再軍備」が崩す財政ルールに警戒」によれば、

「欧州の国債市場で長期金利が急上昇している。5日のドイツでは金利上昇幅が約28年ぶりの大きさになった。欧州がウクライナ支援へ独自の防衛力を強化する「再軍備計画」を進めるなかで、ドイツや欧州連合(EU)が財政ルールの緩和方針を示しており、国債増発への警戒が広がる。


ドイツ債利回り、28年ぶりの上げ幅

ドイツの長期金利の指標である10年物国債の利回りは5日、約2.79%に上昇(価格は下落)して2023年11月以来の高水準となった。前日比の上げ幅は約0.3%と、約28年ぶりの大きさとなった。


2月の総選挙で第1党となった最大野党とショルツ首相が所属する与党が4日、ドイツの財政赤字を国内総生産(GDP)の0.35%に抑える「債務ブレーキ」の緩和で合意し、1%を超える国防費は対象外とする方針としたのがきっかけだ。インフラ投資へ5000億ユーロ(約80兆円)の特別基金の創設も検討する。


「ユーロ圏で最も財政規律を重視するドイツの方針転換は驚きだった。ルビコン川を渡るような大きな変化だ」。

英シュローダーのジェームズ・ビルソン債券ストラテジストはこう評価する。ドイツは1920年代前半のハイパーインフレの経験後にナチスが台頭した教訓もあり、歴史的に保守的な財政政策を続けてきた。


ドイツ財政の想定以上の悪化リスクへの懸念から、増発が見込まれる国債に売りが出された。

英調査会社キャピタル・エコノミクスは26年に財政赤字がGDP比で最大4.5%まで拡大すると予測する。1975年以降で同水準を超えるのは、旧東ドイツへの経済支援を迫られた95年など3回程度に限られている。


ドイツ株は高騰、財政支出による下支え期待

財政支出の拡大が経済成長を促すとの見方から、金利が上昇した面もある。米ゴールドマン・サックスは、27年のGDP成長率が最大で0.9%押し上げられ、2%を超えると試算する。


株式市場ではドイツ株価指数(DAX)が3%高と過去最高値を上回った場面もあった。

戦車や砲弾を製造する独ラインメタルが7%高とけん引した。「インフラ投資の不足が景気減速の原因との見方もあった」(みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミスト)ことから成長の底上げが期待された。


外国為替市場では、欧米の金利差が縮小するとみて、ユーロは対ドルで1ユーロ=1.07ドル台後半と、約4カ月ぶりの高値圏で推移している。



欧州各国にも金利高が波及している。

フランスは約3.44%と約2カ月ぶりの高水準、イタリアは約3.91%と約8カ月ぶりの高水準となった。


EUのフォンデアライエン欧州委員長が4日、GDP比3%以下に赤字を抑えるという財政ルールの緩和を改めて明言したことが大きい。

「もし加盟国が国防費をGDP比で平均1.5%増やせば、4年間で6500億ユーロ近くの財政的余地が生まれる」と訴えた。6日の臨時EU首脳会議で正式に提案し、合意を目指す方針だ。


「スワップ・スプレッド」(固定金利と変動金利を一定期間交換するスワップ取引の金利と国債利回りの差)は、マイナス幅が大きいほど国債に対する需要の弱さや増発リスクを映し出す。10年物が仏と伊でそれぞれマイナス0.9%、1.3%と、独のマイナス0.2%より大きく悪化する。



仏伊のGDP比の債務比率はすでに100%を上回る。特に仏は24年の総選挙後に左派と中道、極右の三つどもえとなった議会の予算審議が迷走したこともあり、警戒感は根強い。


財政ルールの緩和、実現には壁も

もっともドイツの債務ブレーキ緩和の実現には不透明な面もある。

来週にも独連邦議会(下院)で改正の是非を審議するが、憲法に相当する基本法での規定のため3分の2の賛成を必要とし、合意した両党以外の支持も求められるためだ。


「今日の金利上昇は劇的なもので、政府内での財政保守派からの反対の声が出るきっかけとなりそうだ」と英運用大手リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)のロバート・グリフィス・グローバル株式ストラテジストはいう。


金利上昇が国債発行による財源確保の妨げとなり、欧州の防衛力の強化が想定よりも進まないリスクもある。

伊運用会社ユリゾン・キャピタルの調査運用担当者フランチェスコ・セダティ氏は国債市場への圧力で「国防費の支出増のペースが弱まる可能性は大きい」と指摘する。」


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