介護保険、2割負担の対象拡大検討へ、厚労省
高齢化が進み、要支援・要介護認定を受けた人は2025年7月末時点で約731万人に上る。介護保険の給付費は制度開始時の3倍に増えた。
介護保険利用者の9割以上が1割負担だ。2割負担は4.3%、3割負担は3.8%にとどまる。
今後も高齢化で給付費や保険料負担が上昇すると予想されるなか、厚労省は、年末までに2割負担の対象拡大のとりまとめを目指す。
記事
2025年11月14日付日経記事「社会保障 5つの論点(4)介護保険「4度目の正直」 2割負担の対象拡大3度先送り 給付費、制度開始時の3倍」によれば、
「高齢化が進み、介護保険の給付費は制度開始時の3倍に増えた。給付と負担のバランスの見直しは避けられない。
今は自己負担1割の利用者が9割を占める。2割負担の対象者拡大の案が浮上しながら、これまで3度にわたり先送りされてきた。年末のとりまとめを目指す厚生労働省は「4度目の正直」となるか。
介護保険制度は主に65歳以上の要支援・要介護認定を受けた人が利用する。厚労省の介護保険事業状況報告によると、認定を受けた人は7月末時点で約731万人に上る。
「増加する介護費用をより公平に支え合う観点から、2割負担の対象者の範囲拡大を実現すべき」。財務省は11日に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の資料で改めて強調した。
2000年度に制度が始まった際、サービス利用料の自己負担割合は所得にかかわらず1割だった。介護給付費を抑制するため、15年に単身世帯で年収280万円以上の人は2割、18年に340万円以上は3割負担とした。
ただ、利用者の9割以上が1割負担だ。2割負担は4.3%、3割負担は3.8%にとどまる。
厚労省は3年に1度、介護保険制度を見直す。法令改正の準備期間などを考慮し、2年前の年末に社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の介護保険部会で改定の内容をまとめるのが通例となっている。
自己負担拡大は関係団体や利用者の反発が強く、与党内にも慎重意見が出ていたことから先送りを繰り返してきた。
24年度改正に向けた22年末の部会では「必要な介護サービスの利用控えにつながる」「負担能力のある高齢者には適切な負担を求めていくことが重要」といった賛否の声を踏まえ、判断を「遅くとも来年(23年)夏まで」と先延ばしにした。
23年6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)も判断を示さず「年末までに結論」とした。政府が23年末に決めた全世代型社会保障の改革工程は「27年度の前までに結論を得る」と猶予を設けた。
25年6月の骨太の方針は「25年末までに結論が得られるよう検討する」と明記した。厚労省は年末にも27年度改正の方向性をとりまとめる。
厚労省の試算で、2割負担の所得基準を年収280万円以上から190万円以上に引き下げると新たに75万人の被保険者が2割負担となり、年間800億円の給付費削減につながるとした。
改革工程は今後の議論の進め方について2つの選択肢を示した。一つは単に所得基準を引き下げる案、もう一つは負担上限額を設けたうえ大きな幅で引き下げる案だ。
負担上限額には、医療費の窓口負担が2割となる75歳以上の後期高齢者に対する配慮措置を参考にする。支払額の急増を避けるため、3年間は外来に限って負担増を月3000円までに抑える仕組みを導入した。
23年度の利用者負担を除いた介護給付費は10兆8263億円と、制度が始まった00年度から3倍以上に増えた。
40~64歳の現役世代が納める第2号保険料も、25年度は企業や公費による負担分を含めて1人あたり平均月6202円と3倍近くになる見込みだ。
今後も高齢化で給付費や保険料負担が上昇すると予想されるなか、これ以上の先送りは許されない。」
(関連ブログ)
医療・介護の給付と負担 - DIE WITH ZEROの資産運用日記
後期高齢者の健康保険・介護保険、保険料および負担割合の引き上げは不可避か - DIE WITH ZEROの資産運用日記