日銀総裁 記者会見要旨 2026年4月28日金融政策決定会合後
日銀の植田和男総裁は4月28日開いた金融政策決定会合後に記者会見した。要旨は以下の通り。
記事
2026年4月28日付日経記事「日銀総裁「石油危機再来、可能性低い」 記者会見要旨」によれば、
「日銀の植田和男総裁は28日開いた金融政策決定会合後に記者会見した。要旨は以下の通り。
問 決定内容について。
答 無担保コール翌日物金利を0.75%程度で推移するよう促すこれまでの金融市場調節方針を維持することを賛成多数で決定した。中川順子審議委員、高田創委員、田村直樹委員の3者ともに政策金利を1.0%程度に引き上げる議案を提出したが、反対多数で否決された。
現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえ、経済・物価・金融情勢に応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく。
調整のタイミングやペースは、中東情勢の展開が経済・物価に及ぼす影響を注視し、中心的な見通しが実現する確度やリスクを点検しながら検討していく方針だ。
問 物価の上振れリスクがあるなかで利上げを見送った理由は。
答 現状維持の理由は、経済・物価の中心的な見通しの確度がかなり低下したためだ。リスクシナリオとして物価の上振れリスクと、景気の下振れリスクに注意しないといけない。
景気については、特に大きな調整局面がくるリスクを意識してみていきたい。物価は基調的な物価がこれからはっきりと上振れするリスクがあるかを中心にみたい。これらについて、もう少し確認したいというのが今回の据え置きの基本的な理由だ。
問 物価の上振れリスクと経済の下振れリスク、総裁はどちらを重視したか。
答 2026年度を中心に経済は下振れリスク、物価は上振れリスクが大きくなっている。現時点では、その持続性や両者の関係について評価は難しい。中東情勢の帰趨(きすう)やそれが経済・物価情勢に及ぼす影響、中心的な見通しの確度が再び高まってくるか、経済・物価をめぐるリスクが変化していくかをもう少し確認したい。
問 物価の上振れリスクに対応するため、利上げする可能性はあるか。
答 その可能性はあるが、今後の利上げの唯一の理由になるとは考えていない。物価の上振れリスクが高まりつつある一方で、経済の下振れリスクや大きな景気調整が起こるリスクがある程度制限されている場合には、利上げに至ることがあり得る。
問 次回会合までに物価が想定以上に上振れしていくリスクはないか。
答 6月よりもう少し先のデータに、今回の物価上昇の圧力が消費者物価にあらわれてくる可能性は高い。物価が更に上がるリスクが高まる場合には、それを待たずに予想や見通しのもとで判断することはあり得る。
問 3人の委員から反対が出たことの受け止めは。
答 これ自体は議長としては深刻に受け止めないといけない。どういった金融政策を遂行していくのが適切かという判断が極めて難しい点を反映している。反対した3名は物価の今後の上振れリスクを気にして、それに備えるために利上げをするのが適切であると判断した。
残りの6名について平均的に言えば、物価の上振れリスクは気にしている。ただ直ちに利上げで対応する緊急度はなく、もう少しリスクの展開や中心的な見通しの確度が上がってくるかをみたいという判断だった。
問 ビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)に陥る可能性は。
答 石油関連製品を中心に企業の価格設定行動が積極化していることを踏まえ、物価上昇率が大きく上振れしていくリスクが顕在化し、その後の経済に悪影響を及ぼすことがないか十分に留意する。ビハインド・ザ・カーブに陥らないよう、様々なデータや情報を丁寧に点検しながら適切に政策を判断していきたい。
問 1970年代のように物価が大きく上昇するリスクはあるか。
答 第1次石油ショックの時はインフレが厳しかったが、振り返ると原油価格が上昇に転じる前に経済は過熱し、物価や賃金は高い上昇率の状態にあった。そこに原油価格の上昇がきて、一段とひどい状態になった。金融政策の対応の問題もあった。
現状をみると、中東情勢の悪化前に経済が過熱したり、物価が2%を大きく超えて上昇したりする状況ではなかった。そのため70年代の前半のようになる可能性はそれほど高くないと考えている。ただ現実の政策金利が少なくとも中立金利を下回っているという初期条件はあるので、その点は注意しつつ政策運営をしていきたい。
問 中立金利から現状はどの程度距離があるか。
答 中立金利の範囲を絞ることには当面かなりの限界がある。その結果を参照しつつ、毎回利上げをおこなった際にその後の金融・経済情勢がどう推移するかを丁寧にみて、金融環境が緩和的かどうかを判断してきた。
25年12月に利上げしたが、その後の様々な金融指標や実質金利が依然としてマイナスである点、金融機関の貸出態度が緩和的である点などを考えると、現状でも金融環境は緩和的であると判断している。
問 利上げが必要な場合、事前に市場に明確なシグナルを送るか。
答 どういったコミュニケーションが適切かを足元の経済・金融情勢なども踏まえて引き続き検討していきたい。
問 6月は国債買い入れ減額の中間評価がある。利上げ判断とは別々に考えるか。
答 それぞれ別々に適切に判断したい。国債買い入れの減額については、国債市場の安定性に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していく。政策金利は様々なリスク要因はあるが、実質金利が低いなか、経済・物価の見通しの確度の上昇に応じて金利を引き上げていくことが適切であるという見方から判断していく。
問 プライベートクレジット(ファンドなどを通じた融資)の問題をどうみるか。
答 日本からのエクスポージャー(投融資残高)はそれほど大きくないと認識している。システミックな事態にはなっていないとみているが、現実を把握するデータが十分には取れていないので、海外当局とも連携しながら実態の把握に引き続き努めていきたい。」
(関連ブログ)
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