「デジタル赤字」高止まり、1〜6月に3.4兆円 35年には年18兆円予測も
財務省が2025年8月8日発表した国際収支統計によると、2025年1〜6月のデジタル関連収支は3兆4810億円の赤字となった。
旺盛な訪日客需要で旅行収支は半期として過去最大の3兆6065億円の黒字を確保したが、デジタル赤字がほぼ打ち消す構図が続く。
デジタル分野の競争力の低下が国際収支に響いており、デジタル赤字は今後10年間で3倍弱に拡大するとの試算もある。
記事
2025年8月9日付日経記事「「デジタル赤字」高止まり、1〜6月に3.4兆円 35年には年18兆円予測も」によれば、
「日本の企業や個人が使う海外のIT(情報技術)サービスへの支払い超過が続いている。2025年1〜6月のデジタル関連収支は3兆4810億円の赤字となった。デジタル分野の競争力の低下が国際収支に響く。デジタル赤字は今後10年間で3倍弱に拡大するとの試算もあり、次世代を担う稼ぎ手を育てる必要性が高まっている。
財務省が8日発表した国際収支統計によると、経常収支は14兆5988億円の黒字だった。サービス収支は1兆3779億円の赤字となった。特に目立つのがデジタルサービスの海外への支払いで膨らむデジタル赤字だ。
デジタル収支はサービス収支のうちクラウドなど「通信・コンピューター・情報サービス」、ネット広告などの「専門・経営コンサルティングサービス」、動画・音楽配信を含む「著作権等使用料」から構成する。
25年1〜6月の赤字額は、前年同期(3兆6008億円)比3.3%減だが、過去2番目に多い赤字水準だった。10年前の15年の同期間と比べると2.6倍に拡大している。
サービス収支のうち、旅行収支は半期として過去最大の3兆6065億円の黒字を確保した。旺盛な訪日客需要による黒字をデジタル赤字がほぼ打ち消す構図が続く。
米国の「GAFA」のような巨大テック企業に依存している。検索サービスやSNSなどウェブサイトの広告費の支払いが長期的に増加している。新型コロナウイルス禍以降は、企業によるクラウドサービスの利用や動画配信などのコンテンツ視聴が急速に拡大した。
生成AI(人工知能)の普及もデジタル赤字拡大の一因になっているとの指摘がある。今後、日本企業がデジタル化を進めるほど赤字は広がる可能性が高い。
日本政府は米トランプ政権との関税交渉で、米国側の「デジタル黒字」の問題を提起した。対日本での貿易赤字を問題視する米国をけん制する狙いがあった。
最終的には米国への製造業回帰を目指すトランプ米大統領には響かず関税交渉のカードとはならなかった。日本政府関係者は「絶えず指摘はしてきたが、反応は悪かった」と話す。
経済産業省は4月、35年にデジタル赤字が18兆円に拡大するとの独自モデルによる試算を公表した。国際収支統計で6.8兆円だった24年と比較すると2.6倍の規模になる。国内市場で外資企業がシェアを広げた場合などの悲観シナリオでは赤字が28兆円まで拡大すると試算した。24年の鉱物性燃料の輸入額25兆円を上回る。
デジタル赤字が拡大すること自体は企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいるという観点から必ずしも問題とは言えない。海外のデジタルサービスに利用料を払うだけで終わるのではなく、いかに活用して日本企業がイノベーションを生み出せるかが重要になる。
経産省は日本には研究開発などのための資金、デジタル人材、データが不足していると指摘する。量子技術の普及などいずれやってくる転換期を見据え、官民で地盤を整えていくことが求められる。」
(関連ブログ)
デジタル赤字6兆円超の見通し、過去最大。2024年 - DIE WITH ZEROの資産運用日記