超長期国債、30年債利回り急上昇、買えない生保、逃げる海外勢、2025年5月

5月15日の国内債券市場で新発30年物国債の利回りは2.98%と前日比0.045%上昇(債券価格は下落)した。00年11月以来の高水準をつけ、過去最高の3.03%が目前に迫る。
30年物国債の主な買い手だった生損保の買越額は2024年度1.2兆円にとどまり、直近で最も多かった20年度の7.6兆円と比べると減り方は顕著だ。
また、24年度に5兆円を買い越した海外勢も、4月以降は買いの手が止まっており、超長期債を含む「中長期債」は2週連続で売り越しだった。
買い手不在の中、日銀による買い支えへの期待が高まっている。
記事
2025年5月16日付日経記事「30年債利回り急上昇「3%は通過点」 買えない生保、逃げる海外勢」によれば、
「日本の超長期国債の需給が大きく悪化している。主な投資家だった生損保の買越額は2024年度、さかのぼれる04年度以降で最も少なかった。海外勢も4月以降は買いの手が止まっているとの見方が広がる。市場が頼みとする日銀の姿勢に変化が生じれば、30年債利回りは3%を超えて過去最高に上昇する可能性がある。
日本証券業協会がまとめる投資家別の国債売買動向を集計すると、24年度の生損保の買越額は1.2兆円にとどまった。直近で最も多かった20年度の7.6兆円と比べると減り方は顕著だ。
「超長期債を積み増していくにはリスクが高い」(明治安田生命保険の北村乾一郎執行役員運用企画部長)「相場の変動が大きく積極的には買いにくい」(大同生命保険の大谷宗弘運用企画課長)。生命保険会社からはこうした声が相次ぐ。

24年4月発行の30年債(82回債)は15日に79円台と、発行価格(99円台)から2割安となっている。一部の40年債は50円を下回り減損リスクを指摘する声もある。
15日の国内債券市場でも新発30年物国債の利回りは2.98%と前日比0.045%上昇(債券価格は下落)した。00年11月以来の高水準をつけ、過去最高の3.03%が目前に迫る。上昇スピードも10年債を大きく上回る。

25年からの新規制への対応もおおむね終わっている。新規制では財務の健全性を高めるべく、負債にあたる保険契約と保有資産の「期間の差」を縮めることを求めている。このため生保各社は金利水準にかかわらず超長期債を積み増してきた。今後も生保勢の買いは見込みづらい。
24年度に5兆円を買い越した海外勢にも「4月以降、買いの手を緩めつつあるのではないか」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト)との観測が浮上する。財務省が15日発表した「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、超長期債を含む「中長期債」は2週連続で売り越しだった。
日銀の利上げ観測が強まっていた3月までは、多くの証券会社が日本国債に関してフラットニング(利回り曲線の平たん化)を見込む投資スタンスを推奨してきた。例えば、米モルガン・スタンレーは3月7日付のリポートで「超長期の日本国債に前向きな見方を維持する」としていた。
JPモルガン証券の山脇貴史債券調査部長は「実際に海外勢は日銀の早期利上げを見込み、中期債を売って超長期債を買う取引を重ねてきた」とみる。日銀利上げ観測が後退した4月以降は、その巻き戻しが起きやすくなっている。モルガン・スタンレーMUFG証券の杉崎弘一マクロストラテジストは「損失を被っている海外投資家もいる。ひところに比べて買いに慎重になっている様子がある」と話す。
市場でささやかれるのが最後の頼みの綱、日銀の存在だ。6月に24年夏からの国債買い入れ減額の中間評価を予定する。そこで「超長期債を引き続き買い支える姿勢が示されるか」(アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジスト)が注目点だ。
日銀は24年8月から国債買い入れの減額を始めたが、「25年超」には手をつけていない。仮に超長期債の買い入れを減らせば、「30年債利回りの3%は通過点になる可能性がある」(三井住友トラストの稲留氏)との声すら聞かれる。
日銀の「買い支え」は一歩間違えれば財政ファイナンスとの批判が出かねず、そもそも抜本的な解決策にはならない。ただ、市場は小手先であれ何かしらの対策を求めている。日銀と債券市場の行く道は狭まるばかりだ。」
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