生保14社、国内債含み損29兆円。前年比7割増 2026年3月末

生命保険会社の2026年3月期の本業のもうけを示す基礎利益は主要15社の合計で約4兆4000億円と前期比14%増えた。金利上昇などで運用収益が拡大し、2年連続で最高益となった。
一方、3月末時点の国内債券の含み損は14社合計で約29兆6000億円と1年前から7割増えた。国内株式は株高で含み益が約26兆3000億円と4割伸びているが、国内債券の含み損をすべてカバーできていない。
債券価格下落が一定水準を超えると減損のリスクが高まる。また保険解約が増加すれば資産の途中売却を迫られ、思わぬ形で売却損が膨らむ可能性もある。
記事
2026年5月27日付日経記事「主要生保15社に金利高追い風、連続最高益に 円建て商品の販売伸びる」によれば、
「生命保険会社の業績が好調だ。2026年3月期の本業のもうけを示す基礎利益は主要15社の合計で約4兆4000億円と前の期比14%増えた。金利上昇などで運用収益が拡大し、2年連続で最高益となった。利回りが改善する円建て保険の販売も伸びた。
日本経済新聞が主要生保15社にアンケート調査を実施した。基礎利益(単体ベース)は算出基準の変更を考慮せずに単純比較すると過去最高を更新した。15社中、13社が増益となった。
けん引したのは運用収益(利差益)の拡大だ。アンケートに答えた11社合計で34%増の約2兆2000億円だった。生保は保険料を有価証券で運用し、運用利回りが予定利率(契約者に約束する利回り)を上回れば利益となる。25年以降に主な投資先である日本の超長期国債の利回りが急騰し、利息収入が拡大。株式の配当金収入も伸びた。

日本生命保険は単体の基礎利益が16%増の1兆655億円と、初めて1兆円の大台を超えた。基礎利益のうち利差益が7割と大きな比重を占める。赤堀直樹副社長は「難しい金利環境の中でも利回りの低い債券を売却し、高い債券に入れ替えられた」と語る。
富国生命保険は25年度にかけて超長期国債を買い増し、運用利回り(3.54%)と平均予定利率(1.58%)との差が1.96ポイントと25年3月期の1.56ポイントから拡大した。運用収益は26%増の1076億円と過去最高を更新した。
売上高にあたる保険料等収入は15社・グループ合計で9%増の約42兆円だった。国内金利上昇を受けて予定利率を引き上げる動きが相次ぎ、円建ての一時払い終身保険など貯蓄性商品の販売が好調だった。
明治安田生命保険は33%の増収だった。25年4月から9年ぶりに確定給付企業年金の新規引き受けを再開し、実質的な予定利率を引き上げたことが寄与した。第一生命保険は指数連動型商品などの販売が伸び、保有契約から生まれる年間の保険料(保有契約年換算保険料)が9年ぶりに前期比でプラスに転じた。

アンケートに回答した13社合計で貯蓄性商品の新契約年換算保険料は7%増の約1兆2000億円だった。一方、死亡時などに保険金を出す死亡保険といった保障性商品は2%増の約4700億円にとどまる。貯蓄性商品の販売をきっかけに収益性の高い保障性商品への加入につなげられている生保はまだ少ない。
金利上昇は追い風ばかりではない。保有する債券の価格が下落し、含み損が拡大するためだ。3月末時点の国内債券の含み損はアンケートに答えた14社合計で約29兆6000億円と1年前から7割増えた。国内株式は株高で含み益が約26兆3000億円と4割伸びているが、国内債券の含み損をすべてカバーできない。
金利上昇時には生保が将来支払う保険金の評価額も下がるため、債券価格の下落が直ちに問題になるわけではない。ただ一定水準を超える価格下落が生じると減損のリスクが高まる。また保険解約が増加すれば資産の途中売却を迫られ、思わぬ形で売却損が膨らむ可能性もある。

各社は金利上昇や株高で顧客が利率の高い保険に乗り換えたり、投資信託や個人向け国債などに流れたりするリスクを警戒する。第一ライフグループの西村泰介常務執行役員は「第一生命の一時払い貯蓄性商品のうち解約控除がなく、過去に非常に低い予定利率で売った商品は一定程度スイッチングが起こる可能性がある」と話す。
ソニーフィナンシャルグループの早川禎彦最高財務責任者(CFO)は「15〜20年前に販売した貯蓄性の保険は、ちょうど子供が大きくなり解約返戻金を受け取るタイミングだ」という。27年3月期の債券売却額は26年3月期(約2300億円)より大きくなると見込む。
中東情勢を受けた原油高で日本国内の金利上昇は続いている。業績が拡大している間に資産の入れ替えを進め、将来の収益につながる保険契約を獲得していけるかが問われる。」
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